トルンプが新型コンパクト溶接セルを発表 AI自動補正と小型ヘッドで溶接自動化を推進

トルンプが新型コンパクト溶接セルを発表 AI自動補正と小型ヘッドで溶接自動化を推進


トルンプは「EuroBLECH 2026」でAIを活用したプログラム補正機能と小型溶接ヘッドを搭載した新型コンパクト溶接セル「TruLaser Weld 3000」を発表する / 出所:トルンプ

トルンプは、国際板金加工技術見本市「EuroBLECH 2026」で小型ロボットレーザ溶接セルの最新モデル「TruLaser Weld 3000」を発表する。同機は、熟練技能者の不足や頻繁な製品切り替え、限られた工場スペースといった中小板金加工業が直面する課題の解決へ向けて開発された。AIを活用したプログラム補正機能と小型溶接ヘッドを搭載し、多品種少量生産におけるレーザ溶接の自動化を提案する。


溶接工程は作業者の熟練度への依存度が極めて高く、ひずみの修正や仕上げ作業などの負荷が課題となってきた。一方、従来のロボット溶接セルは大型で導入スペースの確保が難しく、製品の切り替えにともなうティーチング作業が煩雑で、多品種少量生産を展開する中小板金加工業の自動化を阻む要因となっていた。

トルンプが今回投入する「TruLaser Weld 3000」は、こうした現場のボトルネック解消を目指したコンパクトなレーザ溶接システムだ。AIテクノロジーを組み合わせることでティーチングおよび段取り時間を従来比で最大50%削減した。プログラムは、実機側での直接入力のほか、「TruTops Weld」を使用することで事務所でのオフラインティーチングに対応する。加工を止めることなくバックグラウンドでプログラムを作成でき、稼働率を高めることができる。

「TeachLine Touch」機能を搭載し、操作画面上の画像を直接タップするだけで、溶接ポイントの補正が完了する。さらに拡張機能である「TeachLine AI」を導入すると、AIがワークの個体差や熱影響によるひずみやズレを自動認識し、ワークに合わせてロボットの動作パスを自動補正する。これにより、熟練者でなくても短時間で高精度なセットアップが可能になり、スキルレス化に貢献する。「BrightLine Scan※1」「BrightLine Weld※2」「FusionLine※3」といったトルンプの各種レーザ溶接テクノロジーも標準搭載している。

「TeachLine Touch」機能により操作画面をタップするだけで溶接ポイントの補正が完了する / 出所:トルンプ

溶接ヘッドを従来比で約40%小型化し、ロボットの可動範囲とワークへのアプローチ性能が拡大した。従来の溶接ヘッドではアプローチが困難だった盤筐体の内側や狭小部位にもヘッドが干渉せずに進入できる。これにより、これまで手作業に頼らざるを得なかったワークの溶接作業を自動化でき、後工程の修正作業を削減できる。

従来比で約40%小型化した新型溶接ヘッドにより、ロボットの可動範囲とワークへのアプローチ性能が向上。制御盤の内側や狭小部位にもアプローチできる / 出所:トルンプ

同機の設置面積は3.65m×3.65mで、上位機種である「TruLaser Weld 5000」の最小モデルと比較して約24%の省スペース化を実現した。コンパクトでありながら、リーチ長2,100㎜のKUKA製「Iontec」ロボットを搭載しており、大型製品にも対応する。

標準的な溶接テーブルのほか、傾斜回転ポジショナー、加工を止めずにワークの脱着作業が可能なコンパクトロータリーチェンジャーなどを選択できる。レーザー発振器の出力は3kWまたは4kW。板厚8㎜までのステンレス・構造用鋼、6㎜までのアルミに対応する。主に配電盤・制御盤、データセンター向け筐体、医療機器、食品機械・厨房設備などの板金部品加工で効果を発揮する見込みだ。

トルンプの製品マネージャー、モーリッツ・ベルガー氏は「TruLaser Weld 3000は、特に多種多様なバリエーションを持つ高品質の板金アセンブリやハウジングを少量生産する企業にとって、競争優位性をもたらす。安定したプロセス、短いサイクルタイム、そして生産における高い柔軟性を実現する」と述べている。

注記

※1 BrightLine Scan
高周波スキャナーとモーター駆動のビームフォーカス調整を統合。レーザビームを揺動(ウォブリング)させることで最大0.4mmまでの隙間(ギャップ)を補正し、溶接幅を拡張して曲げ工程などの前加工誤差を吸収する。

※2 BrightLine Weld
2重コア構造の光ファイバー(2in1ファイバー)を使用し、レーザ出力を内コアと外コアに最適配分する。深い溶入を得る深融溶接時においてもスパッタの飛散を飛躍的に抑制し、美観性の高い溶接ビードを形成する。

※3 FusionLine
隙間が最大約1.5mm程度まで広がるワークや、溶融金属の補填が必要な材質に対しては、レーザと溶接ワイヤ(フィラーワイヤ)を併用。母材のギャップ誤差をフレキシブルにカバーする。

技術・メーカートルンプ